午前2時の正夢

これは夢か現実か?とりあえず眠ることにしよう。

資本主義で生きる基礎体力をつける 『仕事の教科書 きびしい世界を生き抜く自分のつくりかた』 北野 唯我著

想定する読者

明日もいきいきとした生活をおくりたいすべての社会人がこの本を手にとってほしい。
この本はなにかの学びを与えてくれるはずだ。

書評

「仕事の教科書」この本のタイトルにぴったりだと思った。
「仕事の参考書」でもなければ「仕事のガイドブック」でもない。
「完全仕事成功マニュアル」でもない。

なぜ教科書というタイトルがぴったりなのか?
教科書はすぐに役立つことが書かれているばかりではない。 読み手に考えさせ、導く。そして教科書に乗っていることが目指す最終地点は、人生をより豊かに生き抜くための知恵を得る源泉になることだ。
この本も同じである。資本主義の厳しい世界をしなやかに幸せに生きることを最終地点に見据えている。
そのための知識を読み手に授け、実践の手引きをする。

この本を取る以前よりも読み終わって内容を実践したとき自分や部下が豊かに生き抜くことを望む全ての人に読んでほしい。
資本主義の世界でしなやかに泳ぐための基礎体力をつけてくれる本だ。

この本から得られる知識は実にシンプルで実践と検証がしやすい。
たいていの場合、すぐに実践できて結果を得やすいものほど廃れやすい。
しかしこの本の内容は廃れることなく10年先まで持っていける内容なのだ。
何度見返しても資本主義という世界の中で人と人との間で仕事をして生きていくには必要なエッセンスがつまっている。

"求められているのはレベルの高い業務ではなくてタイミング”

これは初っぱなに出てくるがこれにすべてが詰まっている気がする。ハッとさせられた。
『砂漠で水は簡単に売れるが、町中で水を売るのは難しい』という例えがある。まさにそれと同じなのだ。
適切なタイミングで適切な業務成果があることが大事なのだ。
仕事が遅いことや仕事ができないと判断されてしまう原因はやっていることのレベルが本質ではない。

解釈の幅のエピソードは社会人をしている人なら誰しも経験するモヤモヤを的確に言語化している。

"大事なのは「プロフェッショナルの水準」を知って仕事をするのか、知らないまま仕事をするのかだ"

とあるように代替不可能な人物になりたいとき、最高峰の水準を知らないままはよろしくない。

エンジニアをしていると社内から求められるレベルだったらこれくらいでいいかとなることは多々ある。しかしGitHubで日夜OSSに打ち込みより良いソフトウェアの開発をしてる人たちの基準を知らないままにこのくらいでいいかを続けていたらきっと技術力は腐っていく。
エンジニアをしていて、世界の基準がwebを通じて目に見えるからこそこのエピソードは重く刺さった。

“きびしい世界を生き抜く自分のつくりかた"


とあるが本当にこれはぴったりなサブタイトルだ。
職種関係なくどう生き抜くかを指南してくれる。
「エンジニアの世界ではこのエピソードはこんなときに同じ状況が当てはまるな」と想起され自分自身の振る舞いと考え方を導く指標になった。
今までは月明かりだけで夜道を歩いていたが、この本を手にしてからは手に明かりを持って月明かりの下を歩くような感覚がある。

「仕事ができる」とはなんだろうか?
この問に自分なりに答えられる人ほどこの本を読んでほしい。
この本から学べることは仕事ができるようになるテクニックではない。
厳しい世界でどう振る舞い、いかに生き抜くのか。
自らの実践の中でみつけ、その楽しみを見出す本なのではないだろうか?